2020年3月29日の夜に、お笑いタレントの志村けんさんが、突然お亡くなりになりました。
バカ殿や変なおじさんといった、お笑い一筋の印象が強い、志村けんさん。
2020年はNHK朝ドラや、映画「キネマの神様」にも出演が決まっていたので、俳優として演技も楽しみでしたが、実現が叶うことは出来ませんでした。
ですが、志村さんは、生涯に1度だけ俳優として映画に出演されていました。
映画『鉄道員ぽっぽや』です。
今回は志村けんさんが俳優として出演された映画「鉄道員ぽっぽや」の役どころや、演技力、高倉健さんとの共演エピソードについてご紹介します。
志村けんは高倉健の希望で鉄道員ぽっぽやに出演
🍉真夏の超大感動祭🎉
映画「鉄道員(ぽっぽや)」より、感動した言葉…
『げんこのかわりに旗を振り、涙の代わりに笛吹き鳴らし、わめく代わりに裏声絞る、鉄道員(ぽっぽや)か。』8/3(金)午後0:05放送✨⇒https://t.co/6vQYvliT7f#感動した言葉 #超大感動祭 #wowow pic.twitter.com/RHTw1gXXhL
— WOWOW総合 (@WOWOW_SOGO) 2018年8月3日
映画「鉄道員ぽっぽや」は、小説家浅田次郎さんの短編小説が原作となっています。
廃線を間近に迎えようとしていた、北海道の幌舞線の鉄道員、乙松の元に訪れる幸福が描かれています。
1999年に高倉健さん主演で映画化され、広末涼子さんの共演や、坂本龍一さんが音楽を担当したことも、当時話題になりました。
心温まるストーリーと、劇中に流れる優しいメロディーがとても印象的でしたね。
作品としても評価が高く、2000年に行われた、第23回日本アカデミー賞の最優秀作品賞にも選ばれています。
実は志村けんさんは、当時からお笑いの仕事以外は断るというスタンスを貫いていたんだとか。
そんな根っからのお笑い芸人である、志村けんさんを一瞬で変えてしまったのが、往年の銀幕スターである、高倉健さんなのでした。
高倉健さんは、この映画の出演が決まった当初から、志村さんとの共演を希望されていました。
そのため、高倉さんは、前もって関係者から志村さんの連絡先を聞き出すと、志村さんの自宅の留守電にメッセージを残すことにしました。
志村けんさんは、小さい頃からの銀幕スターで憧れの存在だった高倉さんからの突然の依頼に、驚きながらも、感激して、二つ返事で引き受けることに決めたのだそうです。
志村けんさんの役どころは、原作にはないオリジナルキャラクターでした。
石炭の仕事を求めて福岡から北海道のへ移住してきた、炭鉱労働者の吉岡肇(よしおか はじめ)です。
志村けん大好きやったのに…
唯一映画出演した「鉄道員」は、自分の住む地元出身の設定で、なんかめっちゃうれしかったんが今でも忘れられない…
コントやない酔っ払いの演技、最高やったな#志村けん #ぽっぽや pic.twitter.com/Igga9jilCH— どうぐ屋ものもの (@dgy_mono) 2020年3月30日
アルコール好きで、妻には逃げられ息子と2人暮らしで、後に事故に巻き込まれて命を落とす・・・、となっていました。
志村けんさんは当時を振り返って、インタビューでこんなことを語っています。
「もし一緒の映像に出られるんだったらこんな夢のような話ないですからね!」
この言葉から、志村さんが当時高倉さんの共演に喜びをかみしめていた様子が伝わってきます。
あのお笑い一筋だった志村さんを一瞬でもその気にさせた、高倉健さん。
今思うと、志村けんさんの貴重な俳優としての姿を残すキッカケを与えてくださった高倉健さんには感謝の気持ちでいっぱいになります!
志村けんと高倉健「ぽっぽや」映画のアドリブ
映画「鉄道員ぽっぽや」では、志村さんと高倉健さんとの間に、数々の印象的なエピソードが残されています。
高倉健の共演者への気遣い
志村けんさんがロケ地である北海道に撮影入りする前日、なんと再び高倉健さんから留守番電話にメッセージが残されていたんだとか。
「弟子入り志願の高倉健ですけれども、こちらは寒いですので明日は気をつけて来てください!」
高倉さんの優しい心遣いに、志村けんさんはさらに感激したそうです。
撮影入りすると志村けんさんの楽屋に「なんなりとおっしゃってください 乙松より。」という、高倉健さんからのメッセージと花が置かれていたんです。
高倉健さん、大スターなのにスゴイ気遣いをされるんです!
高倉さんの温かいもてなしに感動した志村けんさんは、改めてご挨拶にいった時に緊張のあまり足が震えてしまったそうです。
高倉健がモノマネをしてくれた!
寡黙なイメージのある高倉健さん。
ですが実際はとても良く話す面白い方で、当時から志村さんの番組が大好きで、特にバカ殿がお気に入りでした。
なんと志村けんさんがコントネタでやっていた、お寿司屋さんのおじいさんのモノマネまでしていたそうで、このエピソードを知って高倉健さんのイメージが変わったとの声もあります。
ですが高倉健さんは、さすがに本人の目の前では恥ずかしかったのか、志村さんの前では披露することはありませんでした。
「乃木大将の前で寿司握ったのは俺くらいだヨ!」 #志村けん #ドリフターズ pic.twitter.com/1mQHbRSg0k
— ラブリーモージー (@lovelymosey) 2019年2月3日
志村けんと高倉健のアドリブ合戦
志村けんさんの映画での出演場面は、仕事を失って自暴自棄になってアルコールに溺れて暴れているところへ、鉄道員の高倉さんと出会うという、回想シーンでした。
撮影テストでは、志村さんが「変なおじさん」の声で、思わず高倉さんを笑わせた一コマもあったそう。
そして高倉健さんも志村さんとの撮影シーンで、何度もアドリブを入れてきたんです。
志村けんさんが酔っ払って担がれる場面では、カットする直前に突然手を挙げて「タクシー」と叫んだ高倉さん。
その後の高倉さんと小林稔侍さんに送ってもらった後の場面で「こいつ漏らしてるよ!」と、高倉さんは再びアドリブを突っ込んだのです。
ですがこのアドリブ、両方とも映画ではカットされていました!
ただ撮影中は大ウケで、当時現場の撮影が終始、和やかムードだった様子が伝わってきます。
志村さんが、ただ酔っ払って寝ているシーンも、高倉さんのアドバイスで急遽酔っ払いながら歌うことに変更!
いきなりそんな展開になっても、コントで培ったアドリブ力を生かし、志村さんは冷静にその場の雰囲気に合わせた歌を選んで演じきったのでした。
さすが、お笑いの神様と言われるだけのことは、当時からあったということですね。
志村けんと高倉健は映画の共演後も仲良し
ふたりの映画俳優、志村けんと高倉健。1999年公開「鉄道員ぽっぽや」にて。共に安らかに。 pic.twitter.com/gX2hctizDQ
— せえべえ (@SEEBEE737) 2020年3月30日
お二人が共演してからも、高倉健さんは、志村さんの番組のVTRに出演するほど、心を開いていたようです。
当時、バラエティ番組のために高倉さんが独占インタビューを受けるというのは異例中の異例でした!
高倉健さんは、志村さんのことを相当惚れ込んでいた様子が伺えます。
健さんは、志村さんの印象の違いについて尋ねられると、「お世辞なしに想像通りの日本でも珍しい熱心な俳優さんです。」と答えていました。
「ぽっぽや」では、共演シーンが少なかったので、次回はもっと絡みの多い役で共演したいとラブコールを送っていました。
実は、高倉健さんは、アルコールが苦手にもかかわらず、年に1~2回ほど志村さんを飲みに誘っていたそうです。
又、志村けんさんの元には、高倉さんから、毎年必ずお中元に、高級な甘酒やウィスキーが届けられていて、当時の2人の親交の深さが伝わってきます。
志村けんの演技力にこんな声が!
少ない出演シーンでも記憶に残る演技をされていた、志村けんさん!
多くの方がコメディアンの志村さんではなく、俳優としての志村さんを高く評価しています。
志村さんが演じた役はお得意の酔っ払い役でしたが、笑いを封印した志村さんの演技はコントとはまた違った深みを感じることが出来ます。
人間臭い役を見事に演じ、哀愁漂う沁みるお芝居で、酔っぱらい役を演じさせたら右に出るものがいないくらい志村さんの演技はピカイチでした。
そして役者の顔の志村さんは不思議と普段の姿よりもカッコよく見えますね。
そんな志村けんさんの演技力に、こんな声があがっています。
ぽっぽやの志村けんの演技力は圧巻なのでそちらも是非見てほしいです…。若い頃あれを見て本当に演技力神だと思った。
— ゆかりん🃏🌟共犯者@ピンクマーカー💕💋(たまに絵描き垢) (@guriko31431) 2020年4月3日
ぽっぽやの志村けんの演技力は圧巻なのでそちらも是非見てほしいです…。若い頃あれを見て本当に演技力神だと思った。
父と「ぽっぽや」を観ていたとき、志村けんの演技が真に迫りすぎていて、父は途中で観るのをやめてしまった。父は大分だけどあの当時、福岡の炭鉱に勤める人が周囲にたくさんいて、どうにもやりきれなかったようだ。
— マドレーヌ・アマビエ・イヌヅカ@法律勉強中&なんちゃって茶道家&映画スキー (@madeleine_k9) 2020年4月3日
父と「ぽっぽや」を観ていたとき、志村けんの演技が真に迫りすぎていて、父は途中で観るのをやめてしまった。父は大分だけどあの当時、福岡の炭鉱に勤める人が周囲にたくさんいて、どうにもやりきれなかったようだ。
志村けん追悼で、映画「鉄道員」(ぽっぽや)を観ました。
高倉健。
やっぱり、高倉健!
泣かされたー!健さんの演技に大号泣。志村けんの迫真の演技も素晴らしかった。
志村けん主演の山田洋次の映画、観てみたかったなぁ… pic.twitter.com/yUEe1BkeNZ
— 森山サトシ (@drumoriyama) 2020年4月2日
志村けん追悼で、映画「鉄道員」(ぽっぽや)を観ました。
高倉健。
やっぱり、高倉健!
泣かされたー!健さんの演技に大号泣。
志村けんの迫真の演技も素晴らしかった。
志村けん主演の山田洋次の映画、観てみたかったなぁ…
その後、志村さんが出演した実写映画は、「鉄道員(ぽっぽや)」のみ。高倉健に乞われて出演したといわれる「鉄道員」では、役者・志村けんの存在感が評判を呼んだ。多くの喜劇人がそうしたように、そこから志村さんが、笑いを封印した本格的な芝居に軸足を置きたくなったとしてもおかしくはなかった。
— 濱岡 稔@ひまわり探偵局でお茶を (@hamatch2) 2020年4月2日
その後、志村さんが出演した実写映画は、「鉄道員(ぽっぽや)」のみ。高倉健に乞われて出演したといわれる「鉄道員」では、役者・志村けんの存在感が評判を呼んだ。
多くの喜劇人がそうしたように、そこから志村さんが、笑いを封印した本格的な芝居に軸足を置きたくなったとしてもおかしくはなかった。
志村けんといかりや長介さんの関係も!
志村けんさんは、生前に「コントの芝居の極意は”らしく見えることです。”」と語っていました。
志村さんが徹底的に作り込んだキャラクターになりきっているからこそ、打ち出せたお笑いの極意なんですね。
志村けん様✨🌺
今まで沢山の笑いと笑顔をありがとうございました✨🌹💖
心からご冥福をお祈り申し上げます pic.twitter.com/Yu3WZOYCHw— ふーちゃん (@chacha58masyay1) 2020年3月30日
見る側にも中途半端な気持ちにさせない、本当にこんな人がいると思わせて、なおかつ大笑いさせてくれる役作りが志村さんの笑いの原点だったのではないでしょうか。
役になりきるという点では、お笑い芸人も俳優も役作りの過程は同じ。
ただそこに必ず「笑い」というオチがあるかないかの差。
役者として高く評価されているお笑い芸人の方は、元々なりきることが得意なのでしょうが、志村けんさんは、その原点ともいえる方だと思います。
既にコントで数え切れないほどのキャラクターになりきってきた志村さん。
この経験が、俳優業にも上手く生かされて、笑いを封印した志村さんは役者としてすごい逸材になっていたに違いないでしょう。
仕事でよく共演されていた柄本明さんが「志村けんが俳優業を本腰に入れたらあっという間に天下が取れる!」と言っています。
同じドリフターズのメンバーだった、いかりや長介さんも、晩年は味のある役者として高く評価されていました。
偶然かな?お酒のCMで楽器を演奏する大好きな長さんと志村さん。
渋いなあ。#志村けん#いかりや長介#ありがとう#偶然の一致 pic.twitter.com/OciMZEmVlK— 数珠屋粋鳳《すいほう》 (@jyuzyasuihou) 2020年3月30日
2020年に70歳を迎えてなお、新しい舞台の幕開けに立つことになろうとしていた矢先に、旅立ってしまわれたことが本当に悔やまれます。
今頃天国でいかりやさんと再会して、一緒にコントをやっているのかもしれませんね!
まとめ
今回は、志村けんさんが俳優として出演された、映画「鉄道員ぽっぽや」の演技や、高倉健さんとの共演エピソードについてまとめてみました。
こんなに突然お亡くなりになられてしまうと、実感が全くと言っていいほど感じられないです。
俳優としての志村さんをもっと見れなかったことは残念ですが、長い間私達の心を元気にさせてくれたことに本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
ただ一つ不思議に思ったのですが、志村けんさんはこれまで「ぽっぽや」にしか出なかったのに、どうしてNHKの朝ドラ「エール」には出る気になったんでしょうね?
やっぱりNHKで朝ドラということで、久々に俳優としての力を試したくなったんでしょうか??
「キネマの神様」にも出演予定だっただけに、本当に惜しい方を亡くしてしまい、残念でなりません。
最後までお読みいただきありがとうございました。