この記事は、大河ドラマ「光る君へ」第6話で、藤原道長からまひろの元に届けられた「ちはやぶる」から始まる恋文(手紙)の歌と、漢詩の会において道長が披露した歌の意味についてお伝えします。
「光る君へ」に登場する藤原道長は、歌を詠むのが好きでない、と言ってたのに素敵な詩を披露。
道長から届いた恋文(手紙)を読み、まひろは嬉しくも複雑な表情を浮かべていました。
それではどうぞ。
【光る君へ】藤原道長が漢詩の会で披露した歌はどんな意味がある?
「光る君へ」第6話では、道長の長兄・道隆(井浦新さん)の屋敷にて開かれた漢詩の会にて、道長が歌を披露する場面がありました。
藤原道長が、漢詩の会にて披露した詩は、まひろへの想いを込めて披露したものだと思われます。
この歌の意味についても解説していきます。
「酒」という題が課されます。
この時道長が披露した歌は、以下の歌でした。
賜酒盈杯誰共持 宮花滿把獨相思 相思只傍花邊立 盡日吟君詠菊詩
- 賜酒 杯に盈つれども、誰と共にか持らん、
- 宮花 把に満ちて 獨り相思ふ。
- 相思うて
- 只だ花邊に傍ひて立ち、盡日 君が菊を詠ぜし詩を吟ず。
この歌の意味は以下↓の通りです。
この歌は、唐の詩人・白楽天(白居易)のものであり、親友であり、優れた詩人・元稹(元微之(げんびし))の歌を称えて歌ったものです。
藤原道長は、白楽天が元稹(元微之(げんびし))を想う気持ちを、自分がまひろを想う気持ちになぞらえ、まひろがいる漢詩の会にて披露したのでした。
ちなみに、第6話の漢詩の会の場面で、藤原道長の書いた文字は、柄本佑さんの直筆だそうですよ。
漢詩の会という公の場の行事で、藤原道長が感情を表に出さないようにしながら、淡々と歌っていました。
この時の、まひろのウルッときた表情が印象に残った方もいるのではないでしょうか。
【光る君へ】道長がまひろに送った恋文「ちはやぶる」はどんな意味?
漢詩の会が終わってから、道長はまひろへの思いが高ぶってさらに手紙を送りました。
道長は「ちはやぶる」から始まる歌を送ります。
この時に綴られた恋文はどんな意味が込められてたのでしょうか。
道長から送られた文を開くと、そこに書かれていたのは・・・
ちはやぶる 神の斎垣も 越えぬべし 恋しき人の 見まくほしさに
この歌の元になったのは「伊勢物語」です。
道長がまひろに宛てた歌の意味は、以下のように解釈できます。
恋しいあなたに逢いたくて、私は超えてはいけない垣根を超えてしまいそうです。
「都人を一目見たさに、神を祭る神聖な垣根(超えてはならない垣根)も越えてしまいそうです。」
「ちはやぶる」は「神」の枕詞で、荒々しく勢いのある様子を表現した言葉です。
「神聖な神様の領域をかこっている周囲の垣も越えてしまいそうです。宮廷からおいでになった方をみたくて(あなたとお逢いしたくて禁制を犯してしまいそうです。)」
斎垣=いがき
大宮人=おおみやびと
この和歌は、好きな人に会いたいという気持ちがとても強いことを歌っています。
例えると、神様のお住まいの場所を守る、高い壁があったとしても、それを乗り越えてでも会いたいという気持ちです。
波の上にも鳥居が建っているように、私の心もあなたに会いたいという気持ちでいっぱいになり、飛び立ってしまいそうです。
周りの目を気にしたり、自分の名前が汚れたりすることを恐れても、あなたに会いたいという気持ちの方が強いのです
この言葉に、抑えきれない道長のまひろへの想いが込められているように感じます。
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