この記事は、朝ドラ「ブギウギ」で田中麗奈さん演じる夜の女、「ラクチョウのおミネ」のモデルとなった「ラクチョウのお米姐さん」について、お伝えしています。
ブギウギでは、田中麗奈さん演じるおミネがスズ子と対立するシーンもありましたが、史実でもそのようなことがあったのでしょうか。
「ラクチョウのお米姐さん」の人物像や、笠置シヅ子さんとの交流エピソードをご紹介します。
【ブギウギ】おミネ(田中麗奈)のモデルは「ラクチョウのお米姐さん」
まずは「ブギウギ」に登場する田中麗奈さん演じる「ラクチョウのおミネ」について、みていきます。
ラクチョウのおミネは、有楽町界隈を取り仕切っている夜の女。
有楽町を取り仕切っているので、通称「ラクチョウのおミネ」と呼ばれています。
おミネは雑誌に掲載されてる、スズ子のインタビュー記事を見て、スズ子の楽屋に乗り込んできます。
スズ子は芸能雑誌の記者・鮫島から取材を受けた際「シングルマザーの立場で歌手を続ける、スズ子は、新しい女性の生き方」と表現。
パンパンガールと呼ばれ問題視されていた有楽町界隈の街娼たちについて、スズ子は「生きるためにしてることを、他人がとやかく言えまへん。」と答えていたのでした。
ですが、実際掲載された記事は、「ワテがパンパンを守る」と書かれていて、まるで、スズ子が自分たちを人気取りに利用していると誤解していたのでした。
誤解をときたいスズ子は、山下の「立場が違いすぎるからやめなはれ」と忠告するのですが、聞き入れず、おミネのところへ一人で向かいます。
スズ子は街娼たちに取り囲まれ「帰れ!」と野次られますが、「ワテかて死にものぐるいや!」と食い下がります。
スズ子はこれまでの自分の生い立ちを語ります。
母親や弟を次々と失い、最愛の人もいなくなり、今は娘を育てるのに必死なのだと目に涙を浮かべて訴え、 おミネたちと真摯に向き合おうとする姿。
そんなスズ子の姿に、おミネたちは次第に心を開いていきます。
当時の日本は、敗戦直後。
やっと終わった戦争で、夫や家族を亡くしてしまった女性の中には、生きるために仕方なく、身体を売って生活する人も少なくありませんでした。
「夜の女」と呼ばれ、蔑まれた彼女たちは有楽町や上野のガード下にいることが多く、旧第一生命本社ビルに置かれたGHQ(連合国軍最高司令官総司令部)本部にも近かったことから、進駐軍の米兵が一番の上客でした。
米兵を得意客とする女たちは「パンパン」と呼ばれていました。
ですが次第に彼女たちは結束を固めるようになり、
有楽町界隈=ラクチョウを拠点とする夜の女たちのリーダー格だった人物として出てきたのが、「ラクチョウのお米姐さん」です。
【ブギウギ】笠置シヅ子と「ラクチョウのお米姐さん」の意外な交流から別れの時まで
朝ドラ「ブギウギ」では、スズ子とおミネが対立するような場面もありましたが、おミネのモデルとなる「ラクチョウのお米姐さん」は、笠置シヅ子さんと対立することはありませんでした。
笠置シヅ子さんと「ラクチョウのお米姐さん」をはじめ夜の女たちとは、女手一つで子供を育てるという境遇が一致してることから、お米さんが亡くなるまで交流が続きます。
スズ子のモデル・笠置シヅ子さんは、結婚を約束した吉本頴佑さんを結核で亡くし、生まれたばかりの我が子・ヱイ子さんを育てるためステージに立ち続けました。
乳飲み子を抱え、以前にも増して精力的にステージで歌い踊る笠置シヅ子さん。
笠置シヅ子さんの姿に、夜の女たちは、自らの境遇と重ね合わせるとともに、明るく振舞う姿に感銘を受け熱狂的なファンになります。
笠置シヅ子さんの「歌の師匠・恩人」ともいえる服部良一さんは、「日劇のステージのかぶりつきに、花束を持ち、目を輝かせた彼女たちの姿を見ない日はなかった。」と、語っています。
また、自分のことを応援してくれている夜の女たちに対して、笠置シヅ子さんが以下のように語っています。
「私が未亡人で子どもを抱えながら歌っていることに共感するものがあるのでしょう。
それに自分のように声を出し切って歌うことに、あの人たちは自分に代わって叫んでくれているのだと思うのではないでしょうか」
引用元:(『婦人公論』1966年8月号「ブギウギから20年」)
ラクチョウのお米と笠置シヅ子
「東京ブギウギ」が大ヒットとなった直後、笠置シヅ子さんは、彼女の熱狂的なファンだった「ラクチョウのお米姐さん」と、夜の女たちが自分に会いたがっているという話を聞きます。
笠置シヅ子さんは、多忙な時間の合間をぬって彼女たちに会いに行きます。
その後も交流は続くのですが、夜の女たちの自立のため、単なる交流だけでなく、職業訓練としてタイプライターや洋裁などを習うことができる更生施設・白鳥会館を作るための相談に乗っていました。
当時、夜の女たちは世間から蔑まれる存在でした。
ですが、笠置シヅ子さんは彼女たちの境遇に共感し、思いを寄せています。
「世間ではあの人たちのことをパンパンガールなんて悪くいいますけど、わたしにはどうしてもそんな言葉では呼べませんね。
あの生一本な純情なところを見ると、あの人たちは決して悪い人たちじゃないと思いますよ」
引用元:1948年『サンデーニュース』17号
「ラクチョウのお米姐さん」をはじめとする夜の女たちの熱狂ぶりが分かるエピソードがあります。
1950年6月、笠置シヅ子さんは服部良一さんとハワイ経由で渡米しアメリカ巡業を敢行。
その出発前に日劇で「送別特別リサイタル」が開かれました。
この時の観客は、全部で3千人を超える、満員御礼状態。
そんな中、「ラクチョウのお米姐さん」は仲間たちに号令をかけ、日劇の1階の半分である約800席を買い占めたそうです。
そして、「ラクチョウ夜咲く花一同より」と書かれた、ひときわ大きく高価な花束をステージの笠置さんに贈っています。
これに対し、笠置さんは大変感激し、一人ひとりに「おおきに、おおきに。」と声をかけながら握手をして回ったそうです。
笠置シヅ子のファンとの交流について
笠置シヅ子さんのファンクラブには、当時多くの著名人が入会していました。
そして、入会している大半の人たちが、有楽町界隈を拠点とする夜の女たちだったんです。
彼女たちと笠置さんの交流は、単なる芸能人とファンという関係だけでなく、自宅にて行われた娘・ヱイ子さんの誕生パーティーに招待することも。
そして、その夜の女たちとの深い交流は、その後も続き、
「東京ブギウギ」が大ヒットしてから10年後の1957年の雑誌インタビューにおいて、笠置シヅ子さんは、今も交流があり、誕生日にはお祝いに来てくれること、入院されている方のお見舞いにも行っているということを語られています。
そんな「ラクチョウのお米姐さん」、最期は、肺結核で亡くなっています。
笠置シヅ子さんは、危篤となったお米姐さんの元に駆け付け、「なんでもっとはよう知らせてくれなんだんや」と言って涙を流されたそうです。
残念なことに、この時お2人が会話することはできなかったということです。
「ラクチョウのお米姐さん」他にモデルの可能性のある人物がいる?
「ラクチョウのおミネ」のモデルはラクチョウのお米である可能性が一番高いですが、実は他にモデルではないかと思われる人物が2人います。
①:ラクチョウのお時
1人目は、ラクチョウのお時です。
ラクチョウのお時も、お米と同様に戦後の有楽町界隈で街娼をしていたリーダー的存在で、本名は西田時子さんです。
お時は空襲により家が焼け、両親や兄妹と離別となり、生きていくために街娼になりました。
お時さんはその後、メディア上で発言。
「好きでこの仕事をやってる人が何人いるか」「カタギの仕事を見つけたって世間の人には軽蔑され結局戻ってくる」と正直な気持ちを吐露しています。
ただ、メディアに露出したことがよく思われずに立場を追われてしまい、その後職を転々としたのち、消息は不明で、最期は知られていません。
「有楽町界隈を仕切っている夜の女」という点はラクチョウのおミネと一致します。
⓶:夜嵐あけみ
夜嵐あけみさんは、ラクチョウのお時の姉貴的存在です。
ラクチョウのお時が街娼になったのは、夜嵐さんの妹分になったことがきっかけです。
お時がメディアに露出した際、夜嵐さんは「仲間内のことをシロウトに話した」としてリンチをかけます。
お時はその夜、有楽町から姿を消し、後日「親分と慕われていい気になっていた自分がバカだった」と発言。
夜嵐さんはパンパンの彼女らが搾取されないようしっかり稼ぎを確保し、生活を支え合うグループを形成していた親分で、仲間意識が強い人物でした。
【ブギウギ】ラクチョウのおミネを演じる田中麗奈さんwiki経歴プロフィール
ここからは「ラクチョウのおミネ」を演じる、田中麗奈さんについてご紹介します。
- 生年月日:1980年5月22日(2024年現在、43歳)
- 出生地:福岡県久留米市
- 身長 :158 cm
- 血液型 :A型
- 活動期間: 1995年 –
- 配偶者: 一般人男性(2016年 – )
- 所属事務所 :テンカラット
田中麗奈さん、5歳の時から女優になりたいと思い、小学6年生の頃から実際にオーディションを受けることに。
1998年、映画「がんばっていきまっしょい」で初の主演をつとめます。
主演となった映画「がんばっていきまっしょい」では、日本アカデミー賞新人俳優賞をはじめ数々の新人賞を受賞。
同年、サントリーの飲料水「なっちゃん」の初代CMキャラクターに抜擢され、大人気となりました。
田中麗奈さんが出演する「なっちゃん」のCMは、2001年まで放送。
その後、2005年、2019年にも田中麗奈さんは「なっちゃん」のCMに出演されています。
1999年、「Over Time-オーバー・タイム」で、テレビドラマデビュー。
その後は映画やドラマCMなど活躍し、2007年には、「ゲゲゲの鬼太郎」が実写化され、田中麗奈さんは「猫娘」を演じ、話題に。
NHKの主な出演作品は、大河ドラマ「平清盛」「花燃ゆ」など、数多く作品に出演されてますが、意外にもNHK朝ドラは「ブギウギ」が初出演となります。
今回は「【ブギウギ】おミネ(田中麗奈)のモデル「ラクチョウのお米」は実在で史実通り?」と題してお伝えしました。
「ブギウギ」に登場する田中麗奈さんが演じる「ラクチョウのおミネ」のモデル「ラクチョウのお米姐さん」について、人物像や笠置シヅ子さんとの接点、交流、別れまでを紹介しました。
「ラクチョウのお米姐さん」は、有楽町界隈を拠点とする夜の女たちを取り締まる、リーダー的存在。
「パンパン」とも呼ばれた彼女たちは、戦中戦後、夫や家族を失ったことで生きるために必死でした。
彼女らと笠置シヅ子さんは、今でいう「シングルマザー」として、お互いの境遇を重ね合わせて交流を続けたことで、歌手とファンという関係に留まらない深い関係を築くことになりました。
「ブギウギ」でも、スズ子とおミネの交流がどのように描かれるのか気になるところです。
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