NHK朝ドラ「虎に翼」に出てきた「婚姻状態にある女性は無能力者」という言葉が出てきました。
この言葉はどういうことなのでしょう?
寅子が怒りを感じるほどの「婚姻状態にある女性は無能力者」について、分かったことをまとめました。
【虎に翼】婚姻状態にある女性は無能力者とは?
大学の夜間部に通う下宿人・佐田優三(仲野太賀)に弁当を届けに行った寅子。
寅子は、教室内で授業を受けている生徒の一人が、先生の問いかけに対しての答えとして、「婚姻状態にある女性は無能力者」の回答を聞いて、憤りを感じ「はあ???」と言葉を発してしまいます。
たしかに「女性は結婚すると無能力者になる」の部分だけ聞くと「え??」と感じる方もいると思います。
令和の現代の感覚からすると、非常に驚きの内容です。
「女性は結婚すると無能力者になる」は、戦前の日本においての法律上の事実となります。
「虎に翼」NHKの番組表に、以下のあらすじがあります。
「虎に翼」第3話【あらすじ】
教室から聞こえた「女性は無能力者」という言葉に思わず反応してしまった寅子(伊藤沙莉)は、教授の穂高重親(小林薫)と臨時講師の裁判官・桂場等一郎(松山ケンイチ)と出会う。
出典:NHK番組表
「女性は結婚すると無能力者になる」とう事実を理解するには、当時の法律の枠組みと、社会の価値観を理解する必要があります。
朝ドラで描かれた「女性は結婚すると無能力者になる」という条文は、戦前の日本の「民法」から来たものです。
戦前の日本では、妻が働くためには夫の許可が必要で、妻の財産はすべて夫が管理していました。
戦前の社会「家制度」について・明治民法が原因?
戦前の日本社会は、家制度(家族制度)とその中での男女の役割が厳格に定義された社会でした。
この社会の基本となるのは、明治31年(1898年)施行の「明治民法」です。
この民法は、ドイツ法がモデルです。
この法律の中で、家族法の部分は「家」を単位とする社会秩序を重んじています。
「明治民法」では、結婚すると女性は夫の家族に入ることになり、法律的には「家の一員」としての地位を得ることになります。
ですが、同時に婚姻女性自身の法律上の行為能力は限定されます。
夫が家族の代表と見なされ、家族に関わる重要な決定を行う権限を持つと定められています。
これにより、婚姻女性が経済活動や財産管理、法律行為に関して夫の同意が必要とされ「無能力者」とみなされるのです。
何だか納得いかない法律ですが、当時はこれが当たり前、だったんですよね。
戦後の民法で「男女平等」に変わる
第二次世界大戦後、1947年に施行された新しい民法では、男女平等の原則が明確に打ち出されることになりました。
「女性は結婚すると無能力者になる」規定は撤廃。
男女間の平等が保障されました。
朝ドラ「虎に翼」に出てきた、「女性は結婚すると無能力者になる」という、戦前の法律について、お伝えしました。
ヒロイン・寅子は、常日頃から「結婚することが女の幸せ」の考えに疑問を持っている女性。
そんな寅子が、「婚姻状態にある女性は無能力者」の回答を聞いて憤りを感じるのは、至極当然なのでしょう。
そんな寅子が、この時のことをきっかけに、法律の道へと進むことになるようです。
「虎に翼」で寅子の運命を変える、登場人物・キャスト・スタッフなど、以下の記事も参考にしてください。